
スコッチグレインの工場見学に行ってきました。グッドイヤー製法に関わる大型設備や、職人による縫製工程など、マン・マシーンの技術を集めた革靴製造工程のすべてを超間近で見ることのできる大変貴重な工場です。その全貌をご覧いただきたいと思います。
スコッチグレインとは
スコッチグレインは、浅草に拠点を置く株式会社ヒロカワ製靴が生産する靴ブランドです。1964年創業のヒロカワ製靴は、OEMメーカーとして様々なアパレルブランドへ靴を供給することで技術を積み重ねてきました。その後、自社ブランド「スコッチグレイン」を立ち上げ、小売店舗を開発しながら販売網を拡大し、生産能力も拡大してきました。グッドイヤー製法で作られる靴は、イタリア製の最新ラスティングマシーンや長年の経験を積んだ職人により製造されており、高品質ながら低価格を両立する仕組みを作り上げてきています。スコッチグレインの工場見学に参加するには
スコッチグレインのホームページから年に2,3回募集しているのと、浅草エーラウンド開催時期にも応募することができます。人気の高いイベントなので、すぐに枠が埋まってしまったり抽選方式だったりするので、行けるかいけないかはその時の運次第でもあります。イベントを見つけたらとにかくエントリー!しましょう。いざ工場見学へ
見学会は2時間くらいのものと、お昼を挟んで4時間くらいのものがあります。今回はショートバージョンのイベントでしたが、はじめに広川社長からスコッチグレインの概要説明をいただきます。![]() |
社長からのご説明 |
そして工場の内部へと入っていきます。ここからは実際に見学した順番ではなく、靴が作られる順番で写真を見てもらおうかと思います。
まずは靴のベースとなる木型(ラスト)から。
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ラストが並ぶ地下倉庫 |
次は革のカットです。スコッチグレインにはいくつかのグレードの革が使われていますが、クラスによってはアノネイなど高級レザーが使われております。革の傷などをチェックした後に、巨大なプレスナイフでカットされていきます。
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プレスナイフと型抜き |
カットされた革は、縫製工程に送られます。そこでは、まずスカイビングマシンで革をすいていきます。革を縫い合わせるとその部分だけ厚みが増してしまうので、スカイビングという工程を行うことで厚みを一定にします。こうしてスカイビングした革同士をミシンで縫い合わせてアッパーが完成します。
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スカイビングの様子 |
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縫製後のアッパー |
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ラスティングマシン |
構造としては、アッパーを周囲10箇所程度のペンチでつまみ、引っ張り、木型に吸い付かせていく機構となっており、動いている姿を見ると圧巻です。
ラスティング工程を終えると、いよいよグッドイヤー製法のウェルティング工程に入ります。
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ウェルティングマシン |
次は、靴底にレザーソールやラバーソールを縫い付けていきます。そちらもマシンであっという間に終わります。ちなみに、ハンドで10分仕立てと呼ばれる靴は、底付けもハンドでやっているということですが、9分仕立ての場合、この工程をマシンで行っている、ということを示しています。
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出し縫いマシン |
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ヒールビルディングの後 |
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出荷待ちの靴 |
工場見学で思ったのが、ここまで間近に生産の様子を見れるのはまれであるということ。仮に他の工場で見学会があったとしても、生産機械や作業している方にここまで近づいて見学できることはないでしょう。そういう意味で、ヒロカワ製靴の工場見学する意味が十分あると思います。
紳士靴に興味がある人、靴を作っている人、工場見学に興味がある人などにおすすめのヒロカワ製靴工場の見学レポートでした。
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