町の靴屋さんのビジネスモデル


最近、どの町にもビスポークシューズを作るお店が増えてきたように感じます。ヨウヘイフクダやクレマチスなどの有名なお店だけではなく、イギリスの著名ブランドで腕を磨いてきた職人が凱旋帰国し店を開くパターンや、日本の専門学校を卒業して独立する、など様々です。そんな靴店をビジネス視点で少し考えてみたいと思います。

そもそもビスポークシューズに需要がたくさんあるのか?

よくよく考えてみると、ビスポークシューズを買う人なんてたくさんいるんでしょうか。安くても十数万円~の靴はやっぱり庶民には高すぎるし、同じ値段を出せば高級既成靴が手に入ります。である以上、よっぽど自分の足に合った靴や、自分がデザインした靴を履きたいなどの需要に限られているのではないでしょうか。ジョンロブなどの著名ブランドの靴は、ビスポークであっても富裕層に需要はありますが、町の靴屋でオーダーメードした靴などどこまで需要があるのか疑問です。

靴屋さんの台所事情は?

靴屋を開店し、ビスポークシューズを受注するには、まずお店(賃貸or購入)、ミシンなどの設備、工具、革が必要不可欠です。つまり、それなりの固定資産と在庫(流動資産)を持ちながら、いつ来るかわからないお客様を待つことになります。少なめに見積もっても1000万円くらいは必要なんじゃないでしょうか。さらに宣伝などのプロモーション費用を入れると、キャッシュが出ていくばかりで経営上はあまりに不安定なビジネスと言えます。

副業としての靴教室

そういった中で、町の靴屋さんはサイドビジネスとして靴教室を開催しているところが多いです。おそらく、主要ターゲットは30~60代の男性でしょうか。ハンドメイドでものを作りたい、と思っている人は意外に多く、靴もその例外ではありません。ここ10年間くらいは、シューケアへの需要が高まり、東急ハンズなどでもかなりのスペースを割いて靴関連グッズを売り出していることからも、靴関連ビジネスにニーズが有ることは明らかです。スマホアプリなどを見てみても、minneやCreemaなどハンドメイドに特化したシェアリングサービスが流行っていますね。

靴教室を開催するメリット

靴教室のメリットはなんといっても定期収入が得られることです。毎月月謝という形で現金収入を得ることができるのは、受け身の注文靴ビジネスの不安定性を吸収し、収益の安定化を生みます。本業のビスポークシューズの販売は、基本的にはキャッシュが枯渇し易いビジネスです。というのも、受注してから受け渡しまで数ヶ月のタイムラグが有り、せいざい前金としてもらっても半分程度であるため、ビジネスモデル上キャッシュフローに常に問題を抱える構造となっているからです。こういった中で靴教室から得られる安定収入は本業の不安定さを補う有望な事業になります。

事業のシナジー

このように、町の靴屋さんは靴教室という安定したビジネスモデルを組み込むことで、事業を継続することが出来ています。実は注文靴と靴教室ビジネスにはシナジー効果があり、靴教室の生徒が注文靴をオーダーしたり、注文靴の顧客が靴教室の生徒になることもあります。なので、靴屋さんが革小物などを作るビジネスに横展開するより、靴教室を開くほうがビジネス上相互作用があるので、みな副業として靴教室を開いているのかもしれません。

現状、街の靴屋さんでは本業よりも靴教室で収益を挙げているところが多いように感じます。実際のところはどうなんでしょうか?もう少しデータを集めて分析してみたいと思います。

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