靴磨きの本は星の数ほどあれど、だいたい同じ内容が書いてあります。要するに、靴を磨くために必要な道具、磨くための手順、革によって異なる磨き方がある、ということです。そして大体の靴磨き指南書は革の生物学的な構造の説明から始まり、本書もその枠は出ていません。おなじみのグッドイヤー、ハンドソーンの製法の説明も簡単におさらいしています。
しかしながら、本書の特徴的な点として、「頻度に応じた靴磨き」から構成を練っているところです。
靴磨きの基本は汚れを落とし、"栄養"を与え、光らせる、というものだが、毎度フルコースでは人の靴も疲れてしまう。靴磨きは履いた頻度に応じて変えるのが正しい。とあるように、おろしたて、履き終わり、週に一度、月に一度、半年に一度、といった感じで期間に応じた適切なケア方法を提案しています。さらに短時間でできる靴磨きとして、トゥの磨き型を3つの時間区分(1分、5分、30分)で分け、用具とともに磨き方を説明しています。磨き方に特化しているという意味では、非常に丁寧に方法を紹介しており、初心者にはとっつきやすい資料になるのではないでしょうか。
最後に論じられている「磨きがいのある究極の靴10選」は、磨きがいはともかく、時代を超えて語り継ぎたいこれぞ名作が勢揃いしてます。キャプションも著者の思いがこもっており読みがいがあります。
靴磨き初心者も、上級者も、どちらにも馴染む一冊となるでしょう。
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